2010年12月1日水曜日

前進の愚

放流なき平日の釣果は朝夕に集中しています。フライはドライに強く反応しています。貯水量に対する注水量が多いので(養殖工学では換水率が高いと表現します)、一日の水温差はほとんどありません。魚は昼間は釣れない事を、文字通り素直に具体化している当池です。
週末は、こちらもイワナ主力で行きます。両方の池に尺イワナを放流しますので、ご試食ご希望の方は奥の池で10尾までどうぞ。5人ご家族で、お1人2尾。まず1尾めは刺身、アラの部分はお吸い物にすすると絶品、いい出汁が出ます、飲んだ後にすするとため息が出るほどです。2尾めは塩焼き、皮が美味なので、パリッとした食感に仕上げてください。唐揚げもお勧めです。3枚におろし、フィレーの部分はさっと揚げ、アラの部分は2度揚げし、それらをまた合体させて、魚体を復元するように盛り付けます。塩で召しあがって下さい、頭も骨も食べられます。カーネル サンダースも脱帽するはずです。

ご愛好家には周知となりましたが、柿田川FS殿の閉店、養殖業も撤退。その経営母体の綾部養魚場は業界では屈指の名門、最盛期のニジマスの生産量は年間500㌧強、ニジマスとアユの業界でその名を知らない者は皆無です。先代におかれては、駿河湾の海産稚アユの分配を掌握し、稚アユ調達の関所的存在でした。養殖業界に走った激震は、大手釣り場の閉店の報とは次元の違うものでした。堅強な経営基盤の中での撤退、代表綾部氏の英断であります。
氏が釣り場の開設を計画された時、小生は言語道断の事と進言申し上げた記憶があります。当時の小生としては、養殖に最適な水環境にありながら、養殖池が釣池ごときに改造され、名門養魚場が遊魚場と化す事を業界人として許容できなかったのだろうと回顧します。氏の養殖場と比較して、条件が悪い場所で養殖を営む者たちを嘲笑するかのような短絡的な決断だと考えたのでしょう。
ところがであります、氏の開業の後、ご存じの通り管理釣場は活況になり、そちここに釣場が開設され、小社もその末席に身を置く事になりました。その先見にたけた氏が本業から撤退する、物語るは業界の衰退か、そういう時に時流を読み違えて新規店を開設した小生は愚かなのか、気が重くなるばかりです。

まあ、小生の熟慮程度では先は読めません。攻撃は最大の武器である事を信条で前進あるのみ、カミさんのため息に支えられながら。

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